1.公立病院、薬の仕入れ値DB化へ 情報共有で値引き狙う
2.和歌山市、ノロウイルスで警報
3.「命の薬」グリベック、経済的負担に耐えかね殺人事件も
4.慢性骨髄性白血病進行抑制の抗がん剤、厚労省が公的助成を検討へ
5.弘大に不整脈治療の先端講座/青森
6.磐城共立、白河厚生ががん拠点病院を申請/福島
7.内科医に救急医療講習
8.新型インフルもこれで恐くない!? 点滴の治療薬が登場
9.貧血治療薬を自主回収 大洋薬品、副作用疑われる報告で
10.下肢静脈瘤保険センター4月に開設 保険治療をさらに強化
11.壊死の筋肉、tPAで再生 マウス実験で東大医科研
12.状態の男性とのコミュニケーションに成功、脳の動きで「イエス」「ノー」伝達
13.塩分取りすぎ:がんなど万病のもと 厚労省が8万人調査
14.差額ベッド代:よく知って 4人部屋まで対象/平均で1日5740円
15.初の介護食「パン」を開発
16.レセプト電子請求の医療費明細書、無料発行を義務づけへ
17.【09年度上半期調剤医療費】実額で9.0%増加
18.【中医協総会】調剤報酬改定内容を了承‐長期投薬で調剤料見直し
19.【中医協】療養入基料、看護配置と重症度で2段階に
20.【中医協】10対1入院基本料にも看護必要度
21.【中医協】安全な麻酔管理体制を評価
22.【中医協】歯科初再診料の引き上げを了承
23.【中医協】脳血管疾患リハ料、廃用症候群の加算を新設へ
24.感染症学会が抗インフル薬の使い分けで提言
25.糖尿病網膜症の治療 レーザー後の視力低下をステロイドで予防
26.医薬品情報:ラタノプロスト・チモロールマレイン酸塩
27.ticagrelorは、急性冠症候群の予後をクロピドグレルに比べ有意に改善:PLATO試験
28.Brain Scans Suggest Some Vegetative Patients May Be Aware
29.新型インフルエンザに関する報道発表資料
30.プレスリリース
30.プレスリリース
1) 理化学研究所、急性骨髄性白血病の再発原因細胞「白血病幹細胞」の分子標的同定
2) ケアプロ、糖尿病検査の新サービス「HbA1c検査」を開始
3) テルモ、頭部血管用ガイディングカテーテルシステム「シャペロン」を発売
4) ニプロ、血糖測定関連製品製造・販売の米HDIを買収
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1.公立病院、薬の仕入れ値DB化へ 情報共有で値引き狙う
共同通信社2010年2月4日
都道府県や市町村などが開設する約千の公立病院で構成する全国自治体病院協議会が4月以降、医薬品の仕入れ価格をデータベース化することが3日、分かった。仕入れ価格は個別に業者と交渉して決めているが、民間の病院に比べ割高との指摘を踏まえ、値引き率などの情報を共有し業者との交渉に活用。公立病院の経営改善につなげるのが狙い。
全国自治体病院協議会は、共同購入で値引き率をさらに引き上げることも検討、深刻な財政難を受けた自治体の改革の動きが本格化しそうだ。
病院で使用する内服薬や外用薬、注射剤や造影剤などの仕入れ価格は通常、病院と業者の交渉で決まる。協議会が08年に実施したサンプル調査によると、公立病院の100床当たりの薬品費は1カ月に2017万円で、民間病院を約350万円も上回っていた。昨年実施した実態調査では、公立病院間でも値引き率に最大約3倍の開きがあることが判明。
データベースには各地の公立病院が取引の実例を入力。地域別の値引き率の平均値、最大値などが参照できる仕組みを導入する。
2.和歌山市、ノロウイルスで警報
産経新聞社2010年2月4日
和歌山市保健所保健対策課は3日、主にノロウイルスによる感染性胃腸炎の流行が市内で拡大しているとして、この冬初の警報を出した。
同市ではノロウイルスによる感染性胃腸炎が昨年12月末から感染が急増していた。1月25~31日の1週間で市内9カ所の定点報告が202件と1定点あたり22・44件に達し、警報基準値の20件を超えた。社会福祉施設、医療機関などでは集団発生も報告されているという。
同保健対策課は「今後さらに流行が拡大するおそれがある。ノロウイルス対策は食品の十分な加熱調理や手洗いが有効」と注意を呼びかけている。
3.「命の薬」グリベック、経済的負担に耐えかね殺人事件も
産経新聞社2010年2月4日
命の薬が買えない-。高額治療薬の経済的な負担に苦しむ慢性骨髄性白血病(CML)患者の救済に向け、国がようやく動き出した。CMLの進行を高い確率で抑える抗がん剤「グリベック」。厚生労働省が現行制度の見直しも含めて公費助成の検討に乗り出した背景には、医療費の支払いをめぐり、治療の継続か中断かを迫られる患者たちの切実な声がある。
「将来を悲観し、娘の首をナイフで刺して殺した」
昨年10月21日、東京都足立区で白血病の長女=当時(53)=を乳がんの母親(77)が殺害した事件。殺人容疑で逮捕された母親は、警視庁の調べにこう供述したという。
供述によると、長女は平成19年2月にCMLと診断され、同年10月に骨髄移植を受けたが、約1年後に再発。その後はグリベックによる治療に切り替え、1日1~6錠を体調に合わせて服用するようになった。
病気の治療に専念するため、勤務先のデパートを退社したが、21年4月には母親も乳がんと診断され、毎月25万~30万円の治療費がかかっていたという。
事件当時は2人暮らし。死別した夫の遺産などで数千万円の貯蓄もあったが、生活のため取り崩すしかなかった。「自分も死ぬつもりだった」。取調室の中で母親は犯行を悔やみ、何度も泣き崩れたという。
東大医科学研究所が昨年、全国のCML患者を対象に実施した経済負担調査でも、高額な薬剤費が患者の家計を圧迫している実態が明らかになった。20年の患者の年間平均所得は389万円で、グリベック導入以前の12年に比べて144万円減少。その半面、年間の医療費は22万円増加した。
一方、薬代の支払いに負担を感じている人は、12年の42%から73%に増加。実際に服用を中断した人は2・8%で、「服用をやめたい」と考えている人も約3割に達した。
「年金生活ではとても払いきれない。このまま死んだほうがいい」「やむを得ず子供の進学をあきらめ就職させた」。回答した患者の中には、精神的にも追い詰められている人も数多くいたという。
同研究所の児玉有子特任研究員は「がん治療費の問題は、殺人事件を引き起こすほど時間の余裕がない緊迫した問題。解決までの時間をこれ以上引き延ばすことはできない」と話す。
同研究所によると、CMLの発症年齢は平均52・7歳と高いのも特徴。患者団体などはこれまで、公費助成を求めて署名活動も展開してきた。CML患者・家族の会「いずみの会」代表の田村英人さんは「経済的に苦しむ患者をどこまで救済してくれるのか、公費助成は内容次第で大きく意味が変わる。ただ、国の考え方が前向きになったことは歓迎したい」と話した。
4.慢性骨髄性白血病進行抑制の抗がん剤、厚労省が公的助成を検討へ
産経新聞社2010年2月4日
慢性骨髄性白血病(CML)の進行を抑える抗がん剤で、高額な薬代が患者側の重い負担になっている「グリベック」について、厚生労働省は、患者が自己負担する医療費の全額公費助成を検討する方針を固めた。早ければ今年中にも、経済的負担が治療の継続などにどう影響しているかについて実態調査に乗り出す。公費投入による予算シミュレーションなども進める予定で、負担軽減に向けて本格的に動き出す。
民主党は昨年の衆院選マニフェストで「高額療養費制度に関し、白血病など長期継続治療を要する患者の自己負担軽減について検討を進める」と明記。CMLの患者団体も負担額の引き下げを強く求めている。公費助成が実現すれば、がん全体の医療費負担について議論が進む可能性もある。
CMLは血液のがんの一つで、年間の発症者数は約1200人。国内には現在、約8千人の患者がいるとされる。発症後はゆっくり進行し、放置すれば10年程度で発症者のほぼ全員が亡くなるという。
かつては「不治の病」とされ、根本的な治療は骨髄移植しかなかったが、平成13年に承認されたグリベックの登場で、患者は移植をしなくても服用を続ければ、病気の進行を抑えることが可能になり、治療法も大きく変わった。
ただ、グリベックは1錠約3100円と高価で、1日4錠を無期限で服用し続けなければならず、年間の薬代は約450万円にもなる。長期間高額な負担が必要な病気の患者を対象に国が助成する高額療養費制度の対象にはなるが、それでも患者側には年15万~53万円の医療費がかかる。
東京大学医科学研究所が昨年、全国のCML患者を対象に実施した調査によると、患者の約7割が医療費の支払いを「負担」に感じ、経済的理由で服用の中断を考えた患者も約3割に上ったという。
海外ではグリベックの費用を公的保険でカバーしている国も多く、英国やフランス、イタリアなどでは無料。韓国でも患者団体が政府に強く申し入れ、無料化が実現している。
同研究所の試算によると日本で、公費助成することで発生する予算は年15億円程度。ただ、グリベックの服用で患者の生存率は上がっており、年々膨らむ可能性もあるという。
厚労省保険局は「経済的な負担を感じている患者の実態を把握し、制度の見直しも含めて、国がどこまで支援できるかを検討する必要がある」としている。
■グリベック スイスの製薬会社・ノバルティス社が製造する白血病の分子標的治療薬(一般名メシル酸イマチニブ)。従来のインターフェロン治療に比べて比較的副作用が軽く、治療効果も高いのが特徴。2008年の米血液学会で報告された研究成果では、グリベック服用患者の7年生存率は86%で、インターフェロンの生存率36%を大きく上回った。日本では平成13年に承認された。
5.弘大に不整脈治療の先端講座/青森
東奥日報社2010年2月4日
重症の場合は命にかかわる不整脈。高度化する治療法の研究拠点として、弘前大学大学院医学研究科は「不整脈先進治療学講座」を1月に開設した。根治療法として広がってきた「カテーテルアブレーション術」や、心臓突然死の予防に有効とされる「植え込み型除細動器(ICD)」による治療は、県内ではその技術を備えた医師が少ないため、同講座は専門医の育成も実施。県全体の不整脈治療のレベルアップを目指す。
6.磐城共立、白河厚生ががん拠点病院を申請/福島
KFB福島放送2010年2月4日
いわき市立総合磐城共立病院と白河市の白河厚生総合病院は、新たながん拠点病院として厚生労働省に3日までに申請した。
いわき市立総合磐城共立病院は、がん相談支援センターと緩和ケア外来を新設した。
病院局医事課に設置されたがん相談支援センターはがんを療養している患者やその家族からの相談を無料で受け付ける。
看護師ら2人の専任スタッフが症状や治療の方法・方針、医療費などがんについての悩みを幅広く聞く。
予約制で相談受付時間は毎週金曜の午後1時から同4時まで。
予約制で毎週金曜日午後2時から受診できる。
問い合わせは同課電話0246(26)3117へ。
県内では既にがん拠点病院として福島市の福島医大付属病院、郡山市の坪井病院、太田西ノ内病院、総合南東北病院、会津若松市の竹田綜合病院、会津中央病院、いわき市の福島労災病院が指定され更新を申請している。
7.内科医に救急医療講習
読売新聞社2010年2月4日
開業医などにも救急医療の一端を担ってもらおうと、日本内科学会は、全国10万人の内科医を対象に、救急の基本知識を身につけてもらう本格的な講習会を開くことを決めた。
救急医療に従事する勤務医の負担を軽減するためで、同学会は、日本救急医学会と連携して、講習会のインストラクターの養成に乗り出した。
厚生労働省によると、救急医は2008年末現在で1945人。人口が2倍の米国の約3万人と比べると少なさが際立つ。一方で、救急車で病院に運ばれた患者数は468万人(08年)と10年前と比べ100万人以上増えた。勤務医は過重な負担に悲鳴を上げ、病院たらいまわしなどの問題も起きた。こうした現状に、日本内科学会は救急医療に対応できる内科医を育てることを決めた。
講習会は1回計8時間の内容。同学会の認定内科医の受験資格となっていた心肺蘇生や電気ショックのやり方のほか、救急車で搬送されることの多い脳卒中や気管支ぜんそくなどの内科分野での対処法なども盛り込んだ。
同学会救急委員会委員長の代田浩之・順天堂大教授は「内科医は自らの専門分野に診療を特化する傾向にあるが、講習会で救急の基本的な幅広い知識と技術を身に着けてもらいたい」と話している。
8.新型インフルもこれで恐くない!? 点滴の治療薬が登場
産経新聞社2010年2月4日
ネブラスカ州スリップ&滝
■患者の選択の幅広がる
タミフル、リレンザに続く第3のインフルエンザ治療薬「ラピアクタ」(塩野義製薬)が先月承認され、医療機関での使用が始まった。ラピアクタは初の国産の抗インフルエンザウイルス薬。第一三共も先月、別の薬の承認申請を行っており、新型インフルエンザの流行が治まりつつある中、治療薬をめぐる闘いはこれからが本番となりそうだ。
◆従来薬は5日間
インフルエンザに効く抗ウイルス薬が日本で初めて承認されたのは平成10年。現在、主に使われているタミフルとリレンザはウイルス表面にあるタンパク質を阻害し、細胞内部で作られたウイルスが細胞の外に出ることを抑える作用ある。つまり、体内でウイルスが増殖するのを抑え、全身にウイルスが広がるのを防ぐ効果があるとされる。どちらもA型・B型両方のウイルスに効果があるが、タミフルは飲み薬、リレンザは吸入剤で、1日2回、5日間の使用が原則だ。
十分な治療効果を上げるためにはどちらも5日間きちんと使い続けることが必要だが、「健康日本21推進フォーラム」のインフルエンザに関する調査では、処方されたタミフルの2割に飲み残しがあった。飲み残した理由は「症状が改善されたから」が最も多く、「副作用が心配」「5日間飲み続けることを知らなかった」「他の人に薬をあげようと思った」などもあった。
長崎大学大学院感染免疫学講座教授で、同大学病院の河野茂院長は「日本人は薬好きのわりに服薬コンプライアンス(薬を指示に従って服用すること)が悪い。抗菌薬や抗ウイルス薬は適正に使用しないと感染を周囲に広げることになるだけに、服薬指導や情報提供の充実が望まれる。ただ、患者さんの意思に任されている面もあり、100%にするのは難しい」と打ち明ける。
◆1回で治療完結
ラピアクタはウイルス増殖を抑えるという作用は従来薬と同じだが、1回15分の点滴で治療が完結するため、薬の飲み残しなどの問題がない。第一三共が先月末に承認申請した「CS-8958」も1回投与の薬で、こちらは吸入剤だ。第一三共コーポレートコミュニケーション部は「医師・患者さんの利便性を考えれば投与回数は少ない方がよい」と話す。
ラピアクタの日本国内の治験責任医師を務めた河野院長は「医師にとって点滴薬は目の前で確実に治療できるという安心感がある。患者さんにとっても15分の点滴だけで従来の薬と同等の効果があるのは大きなメリット」と期待を寄せる。
新しい薬の登場はまた、従来薬の効かない耐性ウイルスに対抗できるということからも朗報だ。タミフルを使った子供の約2割に耐性ウイルスが見つかったという報告もあり、早期に診断されても薬が使えないケースが出ることが心配されていただけに、いざというときに使える薬がある意味は大きい。
河野院長は「治療の選択肢が増えるのは患者さんにとってよいこと。日本は薬を使いすぎるという批判もあるが、新型インフルエンザの死亡率が欧米に比べ格段に低いのは、日本で早期診断・治療が行われているためなのは明らか。新型の流行は下火になりつつあるが、症状を自覚したら早めに医療機関を受診してほしい」と呼びかけている。
■8人に1人がインフル受診
厚生労働省の新型インフルエンザ対策推進本部によると、昨年12月中旬までに国民の8人に1人がインフルエンザで医療機関を受診したとされる。このうち入院した患者の65%が基礎疾患がなかった。WHO(世界保健機関)によると、世界の新型インフルでの死者数は1月中旬までに約1万5千人を数える。日本の死者数は186人(2日現在)。
9.貧血治療薬を自主回収 大洋薬品、副作用疑われる報告で
日本経済新聞社2010年2月4日
大洋薬品工業(名古屋市)は4日、同社が製造・販売している貧血の治療に使う注射液「テチプリン静注液40mg」を自主回収すると発表した。血圧低下など激しいアレルギー症状「アナフィラキシーショック」が疑われる副作用が医療機関から報告されたため。回収対象はロット番号が「810493」と「810495」で、2009年1月から7月までに出荷した計17万8650個。
10.下肢静脈瘤保険センター4月に開設 保険治療をさらに強化
産経新聞社2010年2月4日
東京血管外科クリニックは4月から「下肢静脈瘤保険センター」(仮称)を院内に開設することになった。下肢静脈瘤のレーザー治療は健康保険に該当しない自由診療のため、患者によっては経済的な壁となるケースもある。同センターは保険の範囲内で治療を受けたいという要望に応え、一般の健康保険の枠内で最良の治療を目指し、これまで以上に力を入れていく。健康保険の適用となるストリッピング手術で、最新の医療機器を導入し、傷口が小さく、痛みの少ない治療を提供していくとしている。
「脚のむくみや血管が浮き上がる症状の中で、すぐに手術しなくてもいい段階の症状もある」という。患者によっては生活習慣を変えるアドバイスを受ける程度の軽症の人や、脚をきつく覆う弾性ストッキングを履いて経過を観察するレベルの人もいる。
保険適用の治療では、軽症なら患部に薬剤を入れる硬化療法などもある。「脚が重いなどの症状がある人は、まず保険センターで診断を受けることが安心につながる」と柳院長は話している。
11.壊死の筋肉、tPAで再生 マウス実験で東大医科研
共同通信社2010年2月4日
脳梗塞の治療薬として使われている「tPA」を投与し、血管の閉塞が原因で壊死したマウスの筋肉を再生することに成功したとの実験結果を、東京大医科学研究所の服部浩一特任准教授らが4日までにまとめた。
新型万能細胞「iPS細胞」などの細胞を使わず、実現性の高い再生医療の可能性を示すもので、心筋細胞や神経細胞の再生も可能ではないかとしている。
服部准教授らは、tPAの投与によって体内にプラスミンという物質が増え、骨髄由来のさまざまな細胞が、壊死した組織の周囲に集まることを見つけた。これらの細胞の中には、組織の再生を促す血管新生因子をつくり出すものもあった。
そこで、足の血管を閉塞させ、筋肉を壊死させたマウスにtPAを投与すると、筋肉の再生と歩行などの機能回復が促進されることが判明した。出血などの副作用は見られなかった。
服部准教授は「再生医療を臨床応用する際の倫理面や安全性の課題が少なく、実現性の高い研究結果だ」と話している。
tPAは脳血管に詰まった血の塊を溶かす作用があり、脳梗塞発症から短時間のうちに投与すると効果があるとされる。
12.状態の男性とのコミュニケーションに成功、脳の動きで「イエス」「ノー」伝達
AFP News2010年2月4日
5年前に植物状態と診断された男性が、質問に対する脳の反応によって「イエス」や「ノー」などの意思疎通ができるとする研究結果が、3日の医学誌「ニューイングランド医学ジャーナル(New England Journal of Medicine)」に発表された。
この男性は現在29歳で、2003年に交通事故で脳に深刻な外傷を負った。身体的な反応はなく、植物状態と診断されていた。
英ケンブリッジ(Cambridge)にあるウルフソン脳イメージングセンター(Wolfson Brain Imaging Centre)のエードリアン・オーウェン(Adrian Owen)博士率いる英・ベルギーの研究チームは、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を使い、男性に「イエス」「ノー」で答えられる質問をしたときの脳の動きを撮影した。その結果、男性の脳が正しく反応していることが確認できたという。
この技術は、健常者に対しては100%正確に脳の反応を復号化することができるが、話したり動いたりできない植物状態の患者に対して試されたのは今回が初めて。過去3年で植物状態の患者23人に対して実験を行い、4人から反応が確認されたが、「イエス」「ノー」のコミュニケーションができたのはこの男性1人だけだった。
ベルギー側の代表、リエージュ大学(University of Liege)のスティーブン・ローレイズ(Steven Laureys)博士は、「この技術はまだ始まったばかりだが、将来的には患者が感情や思考を表現することで、自ら環境をコントロールして生活の質を高められるようにしたい」と抱負を語っている。
13.塩分取りすぎ:がんなど万病のもと 厚労省が8万人調査
毎日新聞社2010年2月4日
塩漬け食品の取りすぎや、食事全体で塩分の多い生活習慣を続けると、各種のがんや循環器疾患(心筋梗塞、脳卒中など)を発症しやすいことが4日、厚生労働省研究班の大規模調査で分かった。がんと循環器疾患は国民の死因の1~3位、全体の6割近くを占める。胃がんなど一部の疾患では知られていたが、塩分の取りすぎが多くの生活習慣病に影響するとのデータが示されたのは初めて。
調査は、8県に住む45~74歳の男女約8万人を対象に実施。対象者を、食事全体の塩分摂取量、塩辛や漬物、イクラなど塩漬け食品の摂取量によって、それぞれ5グループに分け、6~9年間の調査期間中のがん、循環器疾患の発症状況を調べた。
その結果、塩分全体の摂取量が多い群(1日当たり平均17.8グラム)は、少ない群(同7.5グラム)に比べて循環器疾患の危険性が約2割高かった。また、塩漬け食品の摂取量が多い群は、何らかのがんを発症する危険性が11~15%高かった。塩漬け食品の摂取量が多い群の循環器疾患の危険性は高くはなかったが、魚や野菜に循環器疾患を予防する栄養素が含まれるためとみられる。
研究班の津金昌一郎・国立がんセンター予防研究部長は「日本人の塩分摂取量は国際的にも多い。調味料の塩分を減らし、塩漬け食品を食べる回数を減らすことで、多くの生活習慣病を予防できるだろう」と話す。
14.差額ベッド代:よく知って 4人部屋まで対象/平均で1日5740円
毎日新聞社2010年2月4日
病院に入院するとよく耳にする「差額ベッド代」。公的医療保険がきかず全額自己負担となるため、手術代など医療費より高額になる場合もある。「個室でなければ請求されない」と思ったら大間違い。入院の際に注意しなければならないことをまとめた。
◇「治療上必要」なら適用外 「同意書」署名前に確認を
町工場がひしめく東京都大田区大森にある医療法人財団城南福祉医療協会「大田病院」。現在改築中のため109床で運営しているがほぼ満床だ。1~8人部屋と1病室のベッド数はさまざまだが、差額ベッド代をとらない病院として知られる。
個室に入るかどうかは、医師が症状に応じて判断する。「お金を出せる人と出せない人で、医療に差があってはならない」と井口文子事務長。改築後は189床となるが、引き続き差額ベッド代はとらない。大田病院など全日本民主医療機関連合会に加盟する全国154病院も同様だ。
差額ベッド代は、医療保険に含まれる入院基本料を超えて特別な療養環境を提供した場合に患者に請求できる。厚生労働省が定める基準は(1)1室の病床数は4床以下(2)病室の面積は1人当たり6・4平方メートル以上(3)プライバシーが確保できる設備(カーテンなど)(4)個人用の収納設備・照明・小机など。基準が作られた74年は1室のベッド数は2床までだったが、いまは4人部屋もOKだ。
東京医科歯科大大学院の川渕孝一教授は「かつては、なかなか入院できなかったため、差額ベッド代は入院する権利のようにみられてきたが、最近は介護施設でも居住費(ホテルコスト)をとるようになっており、そうした意味合いが強くなっているのではないか」と話す。
1日あたりの差額ベッド代は50~21万円で平均は5740円(08年7月)。国立病院は全病床の2割以下、公立病院は3割以下、それ以外は5割以下と定められている。関西より、東京、神奈川など首都圏のほうが高い傾向にある。
差額ベッド代は原則「個室に入りたい」と患者が希望した場合に払うものだ。ただし希望してもとられないことがある半面、希望しなくてもとられる可能性があるから注意が必要だ。
「同意書がない場合は本人が希望しても請求されることはありません。また『治療上の必要』があると認められる場合は請求されません」。患者の主体的な医療参加を目指すNPO法人ささえあい医療人権センター・コムル(COML、大阪市、電話06・6314・1652)の山口育子事務局長はそう話す。コムルには「差額ベッド代を請求されたが妥当なのか」などグレーゾーンについての相談も少なくない。差額ベッドの電話相談だけで、年150~200件寄せられるという。
「治療上の必要」があるため、差額ベッド代を請求できないのは(1)手術後(2)救急(3)抗がん剤などを使用して免疫力が低下し、感染症を引き起こす可能性がある(4)終末期で著しい身体および精神的苦痛がある--などの場合とされる。ただし手術後や救急で入院した場合でも全員が「治療上の必要」に当たるわけではない。「個室に入ってもらう必要がある」と病院側から言われた場合は、理由を尋ね治療上の必要かどうか確認したほうがいい。
差額ベッド代をとる病院は、同意書にサインをもらう前、患者に料金の説明をきちんとしなければならないことになっている。とはいえ、患者や家族にしてみれば、入院前はせわしなく、聞き漏らしたり、書類に十分目を通せないこともある。「空きベッドがない」と病院から言われ、夜間などに急な決断を迫られた場合は「私の一存では決められない」と告げ、答えを保留することも大切だ。
山口事務局長は「認知症や歯ぎしり、いびきなど病院側の都合で患者に差額ベッドに移ることを求めた場合でも、同意書があれば請求できる。患者の選択によるかどうかは、同意書があるかどうか。同意の中身を確認し納得するまで説明を求めたほうがいい」とアドバイスする。
■差額ベッド代のグレーゾーン事例
(1)院内感染を引き起こすような感染症患者
→強制的に移動させられた場合はとられないが、同意書を提出すれば支払う必要が生じる
(2)認知症、いびきなどで他の患者に迷惑を及ぼすと考えられる患者
→迷惑防止の観点だけで患者を差額ベッドに移すのは「治療上の必要」にあたらず、差額ベッド代が生じる
(3)空きベッドがないなど病院の都合で患者に入室を勧めた場合
→緊急を要し患者の選択によらず差額ベッドに入院させられた場合はとられないが、同意書を提出すれば支払う必要が生じる
15.初の介護食「パン」を開発
時事通信社2010年2月4日
パン製造・販売で知られるアンデルセングループ(広島市)のタカキベーカリーは4日、介護食用のパンである「らくらく食パン」を開発したと発表した。同社によると、パンの介護食は業界初。8日から医療機関や介護施設向けに販売を開始する。
口腔内のだ液が奪われやすいパンは、咀嚼能力が低下した高齢者には食べにくい。一方、高齢者の多くは戦後の食の欧米化の流れの中で、パン食に最も親しんだ世代でもある。「パンを食べたい」という強い要望が介護現場などから寄せられていたことが開発のきっかけになった。
「らくらく食パン」は、特殊な製法でタンパク質の一種であるグルテンの量を減らし、舌でつぶせるほどの柔らかさにすることで介護食としての安全性を確保した。パン独特の食感はないが、見た目や風味を楽しむことができるという。
16.レセプト電子請求の医療費明細書、無料発行を義務づけへ
朝日新聞社2010年2月4日
辞職する唯一の社長誰であった
厚生労働省は3日の中央社会保険医療協議会(中医協)で、原則すべての患者に医療費の明細書を無料で交付するよう医療機関に義務づける案を提示した。大筋で一致し、導入に向けて調整に入った。
明細書の無料交付は、患者への情報提供の必要性から肝炎などの薬害被害者らが強く要望している。現在は、レセプト(診療報酬明細書)を電子請求している医療機関に限り、患者から求められた場合に発行を義務化。費用も実費徴収が認められている。
厚労省案は、レセプトを電子請求している医療機関には無料発行を義務化する。コンピューターに明細書発行の機能がない場合は、現行通り患者の請求を条件とし、実費徴収も認める方針だ。電子請求をしていない医療機関には無料発行を義務づけないが、明細書発行の有無について患者への周知を求める。
レセプトを電子請求している病院は9割超に上るが、診療所では半数程度。
この日の中医協では、患者ら支払い側の委員が改めて明細書交付の重要性を強調。診療側の委員らも「交付には賛成」と応じた。ただ、交付が義務化されることで医療機関の負担が増えることや、薬などがすべて明記されることで告知前の患者にまで病名が分かってしまうことなどの懸念も示された。
また、この日の中医協では、特許が切れた先発薬と同じ成分で安価なことから厚労省が使用を促進している後発医薬品(ジェネリック)の一部が、先発品より値段が高いことが明らかになった。抗生剤のアモキシシリンなど8種の後発薬が例示され、診療報酬上の加算要件から外すなど対応策を検討することになった。シェアは全体の1%未満で影響は少ないが、厚労省側は「気づかずに申し訳ない」と陳謝した。
17.【09年度上半期調剤医療費】実額で9.0%増加
薬事日報社2010年2月4日
厚生労働省がまとめた「最近の医療費の動向」によると、公費と医療保険適用を合わせた昨年9月分の概算医療費は、前年同月比2・9%増(稼働日数補正後5・2%増)で、このうち調剤は9・1%増(13・0%増)となった。診療報酬改定の影響を受けない2009年度上半期は、全体で3・9%(4・5%)、このうち調剤が9・0%増(10・0%増)とやや高い伸びとなった。
9月分の医療費を、受診延べ日数と1日当たり医療費に分解すると、受診延べ日数が1・5%落ち込んだ一方、1日当たり医療費が4・5%上昇。調剤は、処方せん枚数が2・2%増、1枚当たり医療費が6・8増と共に伸びた。09年度上半期の調剤医療費については、処方せん枚数が2・3%、1枚当たり医療費が6・6%それぞれ増えた。
薬局1施設当たり医療費は、9月分で7・8%増、09年度上半期で7・2%増となっている。
また、調剤医療費全体の99%に当たる電算処理分の動向については、9月分の処方せん1枚当たり医療費が8150円で、このうち技術料が24・8%、薬剤料が75・0%。上半期の処方せん1枚当たり医療費は7960円で、技術料が25・2%、薬剤料が74・7%を占める。
内服薬の投薬日数は、9月分が20・3日で、上半期を通した平均でも20・0日となり、08年度平均の18・8日を1・2日上回った。
後発品割合は、9月分が数量ベース18・8%、薬剤料ベース6・8%、上半期が数量ベース18・6%、薬剤料ベース6・6%となっている。なお、9月分で数量シェアが30%を超えたのは沖縄のみで、25~30%に該当する都道府県はなく、20~25%が北海道、青森、岩手、宮城、山形、群馬、富山、奈良、岡山、熊本、大分、宮崎、鹿児島の13道県だった。
18.【中医協総会】調剤報酬改定内容を了承‐長期投薬で調剤料見直し
薬事日報社2010年2月4日
ハイリスク薬では加算新設
中央社会保険医療協議会総会は3日、内服薬調剤料への31日分以上の区分創設や、抗癌剤をはじめとする特に安全管理が必要な医薬品を対象とした薬剤服用歴管理指導料の加算を新設するなど、次期調剤報酬改定の内容を了承した。調剤基本料の特例については、該当要件を緩和すると共に点数を引き上げ、通常の基本料との格差を縮小させることも決まった。しかし、後発医薬品調剤体制加算における後発品調剤率の算出除外品目や、変更調剤の範囲の取り扱いについては合意に至らなかった。
次期改定における調剤や医薬品に関する主な対応は、[1]長期投薬に対応した調剤料の見直し[2]ハイリスク薬に関する薬学的管理・指導の充実[3]調剤基本料の特例の見直し[4]後期高齢者薬剤服用歴管理指導料の廃止[5]後発品の使用促進--の5項目。
調剤料については、一包化薬調剤料を「一包化加算」として内服薬調剤料の加算に移行させた上で、青天井に7日分単位で評価が高くなる仕組みを見直し、57日分以上を一定点数にする。内服薬調剤料は、15日分以上の点数を引き上げると共に、長期投薬の評価の上限を22日分から31日分まで上げる。これにより、一包化薬と他の内服薬との格差を是正する。また、投与日数にかかわらず一律となっている湯薬の調剤料を、7日分以下、8~28日分、29日分以上の段階評価に変更する。
ハイリスク薬については、薬学的管理・指導を充実させるため、薬剤服用歴管理指導料に点数を加算する。算定は処方せん受付1回ごと。調剤時に服用状況や副作用の有無を確認し、注意事項を詳細に説明することが条件になる。対象は抗癌剤、免疫抑制剤、不整脈用剤、糖尿病用剤など入院の薬剤管理指導料の取り扱いと同様。
調剤基本料の特例は、現在600薬局程度が届け出ているが、近隣に比較的大きな病院が一つといった地域事情で、処方せん集中率70%の基準を越えるケースもある。そのため、時間外、休日、深夜の加算や在宅患者訪問薬剤管理指導料、介護保険の居宅療養管理指導費の処方せんを除いた場合に、受付回数が月4000回以下であれば、通常の基本料40点を算定できるようにする。また、現行18点の特例点数の水準を引き上げる。
後期高齢者薬剤服用歴管理指導料は、前回改定で一般の薬剤服用歴管理指導料と薬剤情報提供料を統合した評価項目として導入したが、一般と同様の取り扱いに戻す。
後発品対応については、改めて議論することになった。
問題となったのは、数量シェアに応じた3段階に見直す後発医薬品調剤体制加算について、厚生労働省事務局が、先発品より高薬価の後発品を調剤率の算出から除外することを新たに提案した点。想定しているのは、▽バルプロ酸ナトリウム▽塩酸アンブロキソール▽テオフィリン▽アモキシシリン▽セファレキシン▽過テクネチウム酸ナトリウム▽マルトース▽マルトース加乳酸リンゲル--の8成分、各成分とも1~2品目。
ほとんどが、従来から薬価の逆転が起きていたが、事務局の把握が遅れたため、この日の会合で表に出てきた。除外品目は薬価告示後に最終決定するが、三浦洋嗣委員(日本薬剤師会理事)は「薬価を含めて整理し、お知らせいただかないと、今後の後発品使用促進のネックになる」と、除外品の明示を求めた。さらに、他の後発品使用に関連する点数にも影響が及ぶことから、他の診療側委員も慎重姿勢を示したため、結論を保留することとなった。
19.【中医協】療養入基料、看護配置と重症度で2段階に
CareerBrain2010年2月4日
中央社会保険医療協議会(中医協、会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)は2月3日の総会で、療養病棟入院基本料の点数を看護配置と重症度に応じて2段階に設定する改定案を了承した。厚生労働省の改定案には、現在は記録だけが求められている患者の状態像などに関するデータの提出を要件に位置付けることも盛り込まれた。
療養病棟入院基本料に関してはこのほか、急性期病院の一般病床や介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、自宅などからの転院(入院)患者を病院の療養病棟や有床診の療養病床が受け入れた場合、受け入れ後早い段階の取り組みを評価する加算を新設する方向となっている。
厚労省保険局の佐藤敏信医療課長は総会で、「重症や早期の患者、あるいはADLの低い患者を受け入れている病院はこれまで以上に評価するし、そうでないところは多少減額する」と説明した。
療養病棟入院基本料は現在、入院患者の医療ニーズの高さ(医療区分)や日常生活動作の状況(ADL区分)などに応じて、A-Eの5通りの点数(750-1709点)が設定されている。
来年度の診療報酬改定ではこれを、▽看護職員と看護補助者を患者20人に対し1人配置している▽医療区分2または3の患者が全体の8割以上-の条件を満たす場合に算定する「療養病棟入院基本料1」と、看護職員と看護補助者を患者25人に対し1人配置している場合に算定する「療養病棟入院基本料2」に再編。それぞれに9通りの点数を設定する。
20.【中医協】10対1入院基本料にも看護必要度
CareerBrain2010年2月4日
中央社会保険医療協議会(中医協、会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)は2月3日の総会で、現在は7対1入院基本料に導入している入院患者の「看護必要度・重症度」の概念を、来年度の診療報酬改定で10対1入院基本料に拡大する内容の改定案を了承した。
7対1入院基本料で実施している「一般病棟用の重症度・看護必要度」の評価票により病棟の全入院患者の状態を継続的に測定・評価している場合に、「一般病棟看護必要度評価加算」として、1日につき一定の点数の算定を認める。
一般病棟のほか、特定機能病院や専門病院の10対1入院基本料についても同じ取り扱いにする。
厚生労働省の改定案によると、同加算の算定病棟は1年間の測定結果を毎年7月に地方厚生局に報告する。
21.【中医協】安全な麻酔管理体制を評価
CareerBrain2010年2月4日
厚生労働省は、2月3日に開かれた中央社会保険医療協議会(中医協、会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)の総会で、常勤の麻酔科標榜医5人以上が安全管理体制を行っている場合に特定機能病院などの大規模病院が算定する「麻酔管理料(2)」の新設を提案し、了承された。
ただ、麻酔科を標榜する常勤医師の確保を要件に組み込むことで、麻酔科医師の偏在を助長しかねないと懸念する声があり、診療報酬改定結果検証部会による検証対象に位置付けることになった。
厚労省の改定案によると、麻酔管理料(2)は常勤の麻酔科標榜医5人以上による安全管理体制を確保し、麻酔医による監督の下、医師が麻酔前後の診察と麻酔手技を行った場合に算定できる。
邉見公雄委員(全国公私病院連盟の副会長)は、「麻酔医、放射線医、病理医が少ないのが、日本の病院医療の一番のアキレス腱だ」と述べ、常勤の麻酔科標榜医5人以上の確保を要件にすることで、これらの医師の偏在に拍車が掛かりかねないことを問題視した。
また、嘉山孝正委員(山形大医学部長)は、「麻酔科はユニオンを作っている。同じ業務をしていながらインカム(収入)が全然違う。こういう付け方をしても勤務医の処遇改善につながらない」と述べ、勤務医の負担軽減・処遇改善につなげる要件を組み込むなどの工夫を求めた。
■「検体検査管理加算(4)」の新設を了承
総会ではまた、より充実した体制による検体検査の実施を評価する「検体検査管理加算(4)」の新設と、「外来迅速検体検査加算」の引き上げも了承した。
厚生労働省の改定案によると、検体検査管理加算は、入院患者1人につき月1回算定する。
院内検査を行っている病院と診療所に算定を認めるが、▽検体検査を専ら担当する常勤医の配置▽常勤の臨床検査技師10人以上の配置▽検体検査管理を行うのに十分な管理体制の整備-を施設基準に組み込むなど、診療所にとってはハードルが高い。厚労省の担当者は総会終了後、記者団に「(診療所による算定を)封じることはないということ」だと説明した。
22.【中医協】歯科初再診料の引き上げを了承
CareerBrain2010年2月4日
中央社会保険医療協議会(中医協)は2月3日の総会で、来年度の診療報酬改定での歯科の初診料(182点)と再診料(40点)の引き上げを了承した。ただ、歯科診療報酬体系を簡素化する観点から、歯や歯周組織の状態などを模型にして立体把握する「スタディモデル」(50点)と、複数の歯科疾患を口腔単位で継続的に管理した場合に算定する「歯科疾患管理料」の初回分を、初再診料など基本診療料に包括する。
初再診料の具体的な点数は今後、検討する。
また、特掲診療料に対する「乳幼児加算」の対象年齢を、現行の「5歳未満」から「6歳未満」に引き上げ、基本診療料の乳幼児加算と統一する。
総会で支払側は、厚生労働省の改定案に同意したが、「初診料を中心に評価すべきだ」(白川修二・健康保険組合連合会常務理事)とも主張。厚労省の担当者も総会終了後、こうした方向で見直す考えを示した。
厚労省によると、初診料や再診料に包括するスタディモデルの算定は、初診時が全体の15%なのに対し、再診時は85%とウェートが高い。診療側の渡辺三雄委員(日本歯科医師会常務理事)はスタディモデルについて、「簡単だけど重要」「(包括化は)苦渋の選択だ」などと述べ、初・再診料の十分な引き上げを求めた。
■歯科技工加算を新設
4月の報酬改定では、常勤の歯科技工士を配置し、入れ歯の修理を迅速に行っている場合に算定する「歯科技工加算」を新設する。破損した入れ歯を預かって2日以内に修理・装着した場合に限り、所定の点数を算定できる。歯科技工室や必要な機器の整備のほか、迅速な修理体制が整備されている旨の院内掲示なども求める。
23.【中医協】脳血管疾患リハ料、廃用症候群の加算を新設へ
CareerBrain2010年2月4日
猶予ナポリターノ肥満
中央社会保険医療協議会(中医協、会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)は2月3日の総会で、脳卒中などのリハビリテーションを評価する「脳血管疾患等リハビリテーション料」を来年度の診療報酬改定で見直し、廃用症候群に関するリハビリを評価する加算を新たに設けることを了承した。また、発症早期からのリハビリの充実を図るため、現行の「早期リハビリテーション加算」の点数を引き上げることも決まった。
現行の脳血管疾患等リハビリテーション料では、常勤の医師や理学療法士らの人員配置などで3段階に分かれ、廃用症候群のリハビリに対する評価は包含されている。来年度の報酬改定では、リハビリテーション料をそれぞれ廃用症候群とこれ以外の場合に分けた上で、廃用症候群以外の「リハビリテーション料(1)」と「リハビリテーション料(2)」については評価を引き上げる見通しだ。廃用症候群に関しては、現行の点数をそのまま移行する。
一方、大腿骨頚部骨折などでは、発症や術後早期からの集中的なリハビリが重要となるため、次期報酬改定では「運動器リハビリテーション料」を見直し、より手厚い人員配置を評価する区分を新設する。現行では人員配置により2段階に分かれているが、これを3項目に再編し、現行より評価の高い新たな「リハビリテーション料(1)」を設ける。
新たなリハビリテーション料(1)は、入院中の患者に運動器リハビリテーションを行った場合に算定できる。施設基準は、▽疾患別リハビリを担当する専任常勤医師を1人以上配置▽運動器リハビリを担当する常勤の理学療法士や作業療法士などの適切な配置▽運動器リハビリの行える十分な施設―などとなっている。
また、「心大血管疾患リハビリテーション料」については、現在、実施できる施設が少ないため、施設基準を緩和することで合意。現行の「心大血管疾患リハビリテーション料(1)」の点数を維持する一方、医師に関しては「心大血管疾患リハビリテーションを実施している時間帯において常時勤務」とし、リハビリが行われていない時間は「患者の急変等に対応できる体制を備えていること」との要件を加えた。
このほか、維持期のリハビリでは、介護サービスとしてのリハビリの提供が適切と考えられる患者に対し、介護サービスに関する情報提供を要件とし、維持期における月13単位までのリハビリの提供を継続する。
■「総合リハ料」新設、「次々期改定で議論があれば準備したい」―佐藤課長
診療側の鈴木邦彦委員(茨城県医師会理事)は、新設される運動器リハビリテーション料(1)と脳血管疾患等リハビリテーション料(2)を一本化するよう要望。また、運動器リハビリテーション料の見直しに伴い改定される「運動器リハビリテーション料(2)」の引き下げに懸念を示し、より質の高いリハビリを評価する「総合リハビリテーション料」の新設を求めた。
これに対し、厚生労働省保険局の佐藤敏信医療課長は、運動器リハビリテーション料(2)の点数を引き下げる考えを強調。総合リハビリテーション料については、「要望している一部の学会があることは承知しているので、次々期改定に向け、そういう議論があれば準備したい」と述べた。
24.感染症学会が抗インフル薬の使い分けで提言
日経メディカル2010年2月4日
ペラミビルは経口投与が難しい重症患者に使用
日本感染症学会は1月25日、薬剤の使い分けに関する提言「社団法人日本感染症学会提言2010-01-25~新規薬剤を含めた抗インフルエンザ薬の使用適応について~」を発表した。提言は、国内で新規抗インフルエンザ薬のペラミビル(商品名ラピアクタ)が発売されるのに合わせてまとめられた。
ペラミビルは発売後しばらく、供給量が限られることが予想されている。同学会新型インフルエンザ対策委員会委員で東北大学加齢医学研究所抗感染症薬開発研究部門教授の渡辺彰氏は、「学会として、現場の混乱を防ぎ、ペラミビルを必要とする患者に投与できるように提言を作成した」と話す。今後、新たに抗インフルエンザ薬が発売されたり、新たな臨床成績が明らかになった場合には、修正、変更される可能性もある。
ペラミビルは、オセルタミビル(タミフル)、ザナミビル(リレンザ)と同じノイラミニダーゼ阻害薬。単回の静脈内投与製剤で、投与量は300mg/日。ただし、ハイリスク患者など重症化する恐れのある者に対しては、600mg/日を連日反復投与できる。また、腎機能障害のある患者では、高い血中濃度が持続する恐れがあるため、患者の腎機能に合わせて投与量を調節する。
症状発現から48時間経過後に投与を開始した患者に対して有効性を裏付けるデータは得られていないほか、小児については現在、臨床試験(投与量は10mg/kg)の成績を解析中で、用法・用量は確立していない。
国内の臨床試験では、季節性インフルエンザの患者296人を対象とした偽薬対照二重盲検比較試験で、罹病期間(主要な7症状が改善するまでの期間)を有意に短縮させた。また、日本と台湾、韓国の季節性インフルエンザ患者1091人に対し、オセルタミビルを対照に罹病期間を比較した臨床試験では、オセルタミビルに対する非劣性が確認されている。
同時に、糖尿病、慢性呼吸器疾患を合併、免疫抑制剤を服用するなどのハイリスク患者37人を対象に、ペラミビル300mg/日または600mg/日を1~5日間投与する臨床試験も実施され、反復投与することで罹病期間が短縮する傾向も見られた。ただし、投与量にかかわらず3日間以上反復投与した症例は4例に限られるほか、重症例に対してはエビデンスが確立していない。また、新型インフルエンザに対しては、in vitroでオセルタミビルやザナミビルよりも強い抗ウイルス活性が示されているものの、臨床でのエビデンスは確立していない。
重症患者はオセルタミビル、ペラミビル、ザナミビルの順で考慮
同学会は、インフルエンザ患者を入院管理が必要とされ、重症で生命の危険がある患者(A-1群)と、生命に危険は迫っていないが入院管理が必要と判断される患者(A-2群)、外来治療が適当な患者(B群)の3群に分類。
A-1群については、治療経験の多いオセルタミビルの使用を第一に考慮し、経口投与が難しいなど静注治療が適当な場合にはペラミビル600mgを投与。ペラミビルは、副作用に注意しながら重症度に応じて反復投与も考慮するとした。また、吸入投与が可能な症例にはザナミビルを投与する。
A-2群についても、オセルタミビル、ペラミビル、ザナミビルの順で投与を考慮する点は同様。ただし、ペラミビルは、300mgあるいは600mgの単回投与を基本とし、重症度に応じて600mgの反復投与を考慮する。B群については、基本的にオセルタミビルまたはザナミビルの使用を考慮し、服薬コンプライアンスが憂慮される場合などはペラミビルの使用も考慮できるとした。
渡辺氏は、「嘔吐や下痢などで経口薬では吸収されていない恐れがある患者や、オセルタミビル、ザナミビルを投与したにもかかわらず重症化した患者などに対して使われると考えている」と話している。
25.糖尿病網膜症の治療 レーザー後の視力低下をステロイドで予防
日経メディカル2010年2月4日
糖尿病網膜症でレーザー治療を受けたら、視力が悪くなってしまった─。こうした合併症を克服する手段として、治療前にステロイドを眼内に投与する方法が注目されている。
「糖尿病網膜症の治療にレーザー(光凝固術)が有効であることは眼科以外の医師にもよく知られている。ただ一方で、レーザー後の視力低下という問題がしばしば起こり、現場ではその対応に頭を悩ませてきた」。こう話すのは、NTT東日本東北病院(仙台市若林区)眼科部長の志村雅彦氏だ。
NTT東日本東北病院眼科部長の志村雅彦氏は、光凝固術後の視力低下を防ぐためのステロイドの術前注射を研究している。
糖尿病網膜症への網膜光凝固術は、網膜虚血部にレーザーを当て、新生血管の発症や進展を抑制する治療法で、30年近く前から行われている。ところが、「網膜症早期で視力が良好な患者への施行が広がるのに伴い、詳細な理由は分かっていないが、網膜の中心にある黄斑部に浮腫を来し、術前よりも視力が低下してしまう例が報告されるようになっている」と志村氏は話す。
同氏が2003年に報告した調査結果によれば、小数視力1.0以上の糖尿病網膜症患者に光凝固術を施行したところ、15%弱の患者で黄斑浮腫が発生し、視力低下が認められたという。「こうした合併症を予防するために、それぞれの医療機関で患者の視力や眼底所見を見ながら経験的にレーザーを当てる時期や当て方を工夫してきたが、医師の経験に頼るところが多く、系統立った対処法は検討されてこなかった」と志村氏は語る。
手術1週間前にトリアムシノロンを注射
そんな中、志村氏らは、近年普及している光干渉断層計(optical coherence tomography:OCT)を使って黄斑部の形態を評価し、どういった場合に光凝固後の黄斑浮腫を起こしやすいかを研究している。
「検討の結果、光凝固術で視力が低下した患者は、黄斑部周辺が健常者よりも肥厚していた。特に中心窩から半径100~300μmの領域が肥厚している場合、低下の可能性が高かった」と志村氏。そこで、光凝固術を行う前にあらかじめステロイドをTenon嚢下に直接注入しておく方法を考案した(図1)。
図1 トリアムシノロンのTenon嚢下注射(志村氏による)
耳側上方の結膜を切開し、強膜を露出させる。Tenon嚢下針を挿入し、強膜壁に沿わせながら黄斑部付近まで進ませ、トリアムシノロン20mg/0.5mLを注入する。
「近年、レーザーを行うかどうかにかかわらず、糖尿病網膜症から発生する黄斑浮腫への新しい治療として、ステロイドのトリアムシノロンを眼内やTenon嚢下に注入する方法が注目されている。そこで光凝固の前に投与してみてはどうかと考えた」(志村氏)。糖尿病網膜症の進展においては、血管内皮増殖因子のVEGFやICAM-1といったサイトカインが発現し、網膜へマクロファージが浸潤する炎症系メカニズムが働いていることから、トリアムシノロンがその病態を阻止できると期待されている。
実際、志村氏らは、両眼の網膜中心窩厚と視力が同程度の10症例を対象に、片眼だけトリアムシノロン20mg/0.5mLを投与し、その1週間後から、両眼に対して光凝固を2週間ごとに計4回施行した。その結果、投与して24週間後には、片眼だけ黄斑浮腫が有意に抑制され、視力維持にも効果があることが明らかになった(図2、症例1)。ステロイドを投与する際には、副作用として眼圧の上昇や眼内炎などが生じる可能性もあるが、1例も認められなかったという。
図2 光凝固前後の網膜中心窩厚と矯正視力(志村氏による)
この方法は、外来で簡便に施行できるのが利点だ。「眼球後方に確実にステロイドを注入するにはある程度の慣れは必要だが、有効だと実感している」と志村氏。また、使いやすい注入針を使うことも重要で、同氏はEagle社の21G Tenon嚢内注射用Triport needleを使用しているという。
ただし、トリアムシノロンは、糖尿病網膜症に対する適応はない。そのため院内の倫理委員会の承認を得た上で、関節腔内用水懸注液(商品名ケナコルト-A)を眼灌流液で希釈し投与している。薬剤は227円/mLと安価なため、費用は病院の持ち出しで行っている。
●症例1 視力良好の糖尿病網膜症に対して片眼のみトリアムシノロンを投与し、光凝固を行った例(提供:志村氏)
68歳女性。両眼未治療で視力良好(小数視力で両眼とも1.0)だった。片眼にトリアムシノロン20mg/0.5mLをTenon嚢下投与し、両眼に汎網膜光凝固術を施行したところ、トリアムシノロン投与眼では、視力は2回目の光凝固術中は1.0、施行後も1.0だったが、未投与の眼では、視力はそれぞれ0.8、0.5まで低下した。また、黄斑部網膜厚はトリアムシノロン投与眼では、192μm、202μm、196μmと大きな変化はなかったが、未投与眼では189μm、302μm、428μmとなり、光干渉断層計(OCT)でも黄斑浮腫の所見が認められた。光凝固術施行前の画像において、中央のへこんでいる部分が黄斑部(未投与眼では、施行後に肥厚している)。
アバスチンも硝子体に投与
また、トリアムシノロンと同様に、糖尿病網膜症による黄斑浮腫や増殖膜の進行を抑制できる薬剤として、抗VEGF薬のベバシズマブ(商品名アバスチン)も注目されている。有用性を示した研究が08年に報告され、臨床応用する施設が増えている。
NTT東日本東北病院でも、ベバシズマブ0.2~0.3mLを患者の硝子体に注射する治療を行っている。志村氏は「ベバシズマブには増殖期まで進んでしまった病態を注射だけで沈静化させる効果も期待でき、硝子体手術を回避して光凝固で対応できることもある」と話す。
ただし、現時点でベバシズマブの効能効果は、結腸・直腸癌のみであり、糖尿病網膜症の治療薬としては認められておらず、保険も適用されない。そのため、志村氏は院内の倫理委員会の承認の下、海外の製剤を個人輸入して患者に投与している。同様の治療を行っている施設では、費用は医療機関の持ち出しで行われているケースが多いようだ。
抗VEGF薬は、アバスチンのほかにもペガプタニブ(マクジェン)、ラニビズマブ(ルセンティス)があり、いずれも糖尿病網膜症に対する有効性は報告されている。しかし、これらの適応としては加齢黄斑変性症しか承認されていない。
志村氏は「ここ数年でトリアムシノロンやベバシズマブといった薬剤のメリットが明らかになり、患者の予後も改善した。適応外であるためどの施設でも使用しているわけではないが、学会などで情報交換すると専門の医師の間では確実に使用する施設が増えたと実感している」と話している。
【参考文献】
あたらしい眼科 2007.;24:149-55.
眼科手術 2006;19:177-80.
26.医薬品情報:ラタノプロスト・チモロールマレイン酸塩
ザラカム:緑内障用では初の「2剤を配合した点眼剤」
日経メディカル2010年2月4日
北村 正樹=慈恵医大病院薬剤部
2010年1月20日、緑内障・高眼圧症治療薬のラタノプロスト・チモロールマレイン酸塩(商品名:ザラカム配合点眼液)が製造承認を取得した。本薬は、従来から使用されているプロスタグランジンF2α誘導体のラタノプロスト(商品名:キサラタン)と、β遮断薬であるチモロールマレイン酸塩(商品名:チモプトール、リズモンなど)とを配合した点眼剤である。複数の有効成分を配合した点眼剤は、緑内障・高眼圧治療薬の領域では日本初である。用法・用量は「1回1滴、1日1回点眼」となっている。
緑内障は、「視神経乳頭、視野の特徴的変化の少なくとも一つを有し、通常、眼圧を十分に下降させることにより視神経障害の改善あるいは進行を阻止し得る眼の機能的構造的異常を特徴とする疾患」と定義されている。病状が進行すると視神経が損傷を受け、視野が徐々に欠けていき、放置すると失明の危険がある。日本では40歳以上の20人に1人が発症しており、視覚障害の原因の第1位となっている。緑内障の中には、眼圧が上昇しないタイプ(正常眼圧緑内障)も多いことから、未治療の患者も多く、早期発見・早期治療が重要とされる。
治療では、眼圧を下げることが主目的となる。薬物療法では、房水の流出を抑制する作用を持つプロスタグランジン誘導体と、房水産生抑制作用を持つβ遮断薬の点眼剤が主に使用される。ただし、この2剤のうち、1剤だけで長期間眼圧をコントロールすることには限界があり、しばしば2剤が併用される。その際、2剤を続けて点眼すると涙嚢から薬液があふれ出してしまうため、点眼間隔を5分間以上空けるように指導するのが一般的である。だが、この5分間の待ち時間が原因で2剤目の点眼を忘れてしまい、コンプライアンス低下を招く場合があった。
今回、承認されたザラカムは、1日1回の点眼で効果が24時間継続する。薬効についても、従来のラタノプロスト(1日1回)とチモロール(1日2回)を併用した場合と同程度の眼圧下降効果があったことが報告されている。ザラカムは、海外では、2000年にスウェーデンで承認されて以降、100カ国以上で承認されている。
ザラカムは、時間を置いて2種類を順番に点眼するという不便さから解消されるとともに、2剤目の点眼忘れによるコンプライアンス低下も防げることから、2種類の点眼剤の併用が必要な患者にとっては、有用な点眼剤といえるだろう。
国内での臨床試験では、25.4%に何らかの副作用が発現したことが報告されている。主な副作用は、眼刺激(15.9%)、点状表層角膜炎(3.0%)、結膜充血(2.0%)、角膜炎(1.5%)、ALT上昇(1.0%)などである。また、既存のβ遮断薬点眼剤と同様に、禁忌(気管支喘息、気管支痙攣、重篤な慢性閉塞性肺疾患、コントロール不十分な心不全、洞性徐脈、房室ブロック(II・III度)、心原性ショック)となる患者の事前チェックが必要になる。
27.ticagrelorは、急性冠症候群の予後をクロピドグレルに比べ有意に改善:PLATO試験
CareNet2010年2月4日
新たな経口P2Y12受容体阻害薬であるticagrelorは、侵襲的治療が適用とされる急性冠症候群(ACS)患者の抗血小板療法において、クロピドグレル(商品名:プラビックス)に比べ有意に予後を改善することが、米国Brigham and Women's病院TIMI study groupのChristopher P Cannon氏らが実施したplatelet inhibition and patient outcomes(PLATO)試験で示された。クロピドグレルの抗血小板作用には個人差がみられ、不可逆的であるため、ACS患者における至適な用量や投与のタイミングについては議論がある。ticagrelorはクロピドグレルと同じP2Y12受容体阻害薬であるが、その作用は可逆的で、より強力かつ長期に持続するという。Lancet誌2010年1月23日号(オンライン版2010年1月14日号)掲載の報告。
約13,000例を対象とした二重盲検ダブルダミー無作為化試験
PLATO試験の研究グループは、入院後できるだけ早期に治療を開始する必要があるため侵襲的治療が計画されたACS患者を対象に、ticagrelorとクロピドグレルの予後改善効果および出血リスクを比較する二重盲検ダブルダミー無作為化試験を実施した。
ST上昇あるいは非上昇ACSで入院中の患者18,624例が登録され、そのうち侵襲的治療が計画された13,408(72.0%)例が、ticagrelorとプラセボを投与する群(負荷用量180mg投与後、90mg×2回/日を投与)あるいはクロピドグレルとプラセボを投与する群(負荷用量あるいは維持用量として300~600mgを投与後、75mg/日を投与)に無作為に割り付けられ、6~12ヵ月の治療が行われた。
全例にアスピリンが投与された。主要評価項目は、心血管死、心筋梗塞、脳卒中の複合エンドポイントとし、intention-to-treat解析を実施した。
1,000例当たり年間11例の死亡、13例の心筋梗塞、6例のステント血栓症を防止
ticagrelor群に6,732例が、クロピドグレル群には6,676例が割り付けられた。治療開始後360日における複合エンドポイントのイベント発生率は、ticagrelor群が9.0%とクロピドグレル群の10.7%に比べ有意に低かった(ハザード比:0.84、p=0.0025)。
大出血の発生率は、ticagrelor群が11.5%、クロピドグレル群は11.6%と両群間に差を認めなかった(ハザード比:0.99、p=0.8803)。GUSTO(Global Use of Strategies To Open occluded coronary arteries)の出血基準に基づく重篤な出血についても、それぞれ2.9%、3.2%と同等であった(ハザード比:0.91、p=0.3785)。
著者は、「薬物療法開始時に侵襲的治療が計画されているACS患者に対する抗血小板療法としては、ticagrelorがより有用な選択肢と考えられる」と結論している。
これらの知見に基づいて推算すると、ticagrelorはクロピドグレルに比べ大出血や輸血の頻度を上昇させずに、年間にACS患者1,000例当たり11例の死亡を回避し、13例の心筋梗塞および6例のステント血栓症を防止するという。
また、今回の結果は、「血小板P2Y12受容体の阻害を増強すれば、大出血を増加させずに死亡率を低減させることが可能との考え方を支持するもの」と指摘している。
Cannon CP et al. Comparison of ticagrelor with clopidogrel in patients with a planned invasive strategy for acute coronary syndromes (PLATO): a randomised double-blind study. Lancet. 2010 Jan 23;375(9711):283-93. Epub 2010 Jan 14.
28.Brain Scans Suggest Some Vegetative Patients May Be Aware
But researchers caution against giving families false hope
HealthDay News2010年2月3日
Some patients thought to be in a vegetative state actually show signs of consciousness when assessed with a brain scan.
A team of British and Belgian neuroscientists conducted functional magnetic resonance imaging (fMRI) on 54 patients who were diagnosed as being in a vegetative or a minimally conscious state because of traumatic brain injury, brain stem stroke, meningitis or other brain injury.
When the patients were asked to think about hitting a tennis ball or walking around their home or neighborhood, brain scans for five of them showed they could "willfully modulate their brain activity," or show evidence of conscious thought, said lead study author Martin Monti, a neuroscientist at the Medical Research Council Cognition and Brain Sciences Unit in Cambridge, England.
Researchers could tell the brain activity was conscious thought because the patients' brain activity was similar to that of healthy controls performing the same mental tasks, according to the study in the Feb. 2 issue of the New England Journal of Medicine.
Additional tests found three patients could follow commands or make small movements that further showed some level of awareness. Two had been considered vegetative and one minimally conscious.
In the other two, however, researchers could not find any discernible evidence that they could respond.
As a result of the testing, four patients originally diagnosed as being in a vegetative state were reclassified as being minimally conscious.
"There is no 'consciousness meter' we can put next to the brain and say if someone is conscious. We can only look at how people behave and infer if they are conscious or not," Monti said. "The problem is behavior is not always a good measure of consciousness. fMRI seems to be one way of determining if a patient who is not responsive behaviorally is, in fact, conscious."
Patients in a vegetative state appear to awaken after a coma but show no signs of awareness of self or their environment. Though their eyes are open, they have no purposeful actions, explained Dr. Allan Ropper, a neurologist at Brigham and Women's Hospital in Boston, who wrote an accompanying editorial. Their behavior is limited to reflexive behaviors, such as roving eye movements, swallowing or yawning.
The minimally conscious state is a newer term that describes patients with very limited and erratic verbal or motor responses to a spoken voice or other external stimuli.
The research raises provocative questions about the nature of consciousness and self-awareness, Ropper said.
Even if brain scans show hints of residual consciousness, "the question is, what does it mean? That is what people are going to have to grapple with," Ropper said. "It has to do with what you think life is and what is a meaningful life. Those are social, cultural and theological questions."
Ropper also cautioned against families gleaning a false sense of hope. Evidence of consciousness was found in only a small percentage of patients. And all of those were patients who had suffered traumatic brain injury, not "anoxic" brain injury caused by a lack of oxygen from, say, cardiac arrest.
The ultimate hope is that brain scans could one day enable some level of communication, said Dr. Joseph Fins, a professor of medicine and public health and chief of the division of medical ethics at Weill Cornell Medical College in New York City.
"Restoring communication is the holy grail," Fins said. "The thing that families overwhelmingly want is for their loved one to be able to express their wishes, and to know that their loved one is not in pain. These are things that could profoundly impact the decisions of families found in the difficult situation of caring for someone who is vegetative or minimally consciousness."
In the study, the patient who came closest to that was a man in his 20s who had suffered traumatic brain injury at least five years earlier in a traffic accident, Monti said. His brain scan showed he was able to correctly answer questions such as, "Is your father's name Alexander?" though he could not verbalize or show through any movement that he could respond.
"We tried very hard to communicate at the bedside, but that remained impossible," Monti said. "But it is still the case that we managed to give him, to a little extent, a voice. In a sense there was a very positive outcome. We managed to interact. This is an extremely exciting thing."
In some ways, the research raises many more questions than it answers, Monti added.
"The human brain, even though we are learning more and more about it, is extremely mysterious to us in many ways," Monti said. "We are still struggling to understand the meaning of what it means to be conscious or to have streams of thought or self- awareness."
29.新型インフルエンザに関する報道発表資料
◆奈良県におけるオセルタミビル(商品名:タミフル)耐性を示す遺伝子変異が検出された新型インフルエンザウイルスについて
◆新型インフルエンザ患者国内発生について
30.プレスリリース
1) 理化学研究所、急性骨髄性白血病の再発原因細胞「白血病幹細胞」の分子標的同定
急性骨髄性白血病の再発原因細胞「白血病幹細胞」の分子標的を同定
-幹細胞レベルで白血病を根絶し、再発をなくす世界初の治療・創薬の実現へ-
◇ポイント
・急性骨髄性白血病の再発原因となる白血病幹細胞の網羅的遺伝子発現解析に成功
・正常血液幹細胞を守り、白血病幹細胞だけを標的とした新創薬が可能に
・「根治性」と「安全性」を備えた白血病治療を実現する分子標的医薬開発が加速
独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)は、成人の血液がんである「急性骨髄性白血病」の再発克服・根治を目的とする創薬実現のため、再発の主原因である白血病幹細胞(※1)を根絶する分子標的を25種同定しました。免疫・アレルギー科学総合研究センター(谷口克センター長)ヒト疾患モデル研究ユニットの石川文彦ユニットリーダー、免疫ゲノミクス研究グループの小原收グループディレクターらと、国家公務員共済組合連合会虎の門病院血液科の谷口修一部長との共同研究によるもので、白血病を幹細胞レベルで治療して根治を目指す新しい医薬創出が期待できます。
急性骨髄性白血病(※2)は、予後不良な悪性の血液疾患です。これまでの抗がん剤開発などにより、寛解(白血病細胞の数が著しく減少し症状が改善)を得られるようになってきましたが、再発率が高いことが白血病治療の最大の問題となっています。このため、再発をなくし、白血病を寛解から根治へと導く医薬や治療法の創出が強く望まれていました。研究グループは、これまでに、白血病幹細胞が骨髄の特別の場所(ニッチ)に存在して抗がん剤に抵抗性を示すことが、再発の原因となることを明らかにしてきました(2007年10月22日プレス発表)。
今回、研究グループは、白血病幹細胞の網羅的遺伝子解析などによって、白血病幹細胞に発現する分子群について、抗体医薬の標的となる細胞表面抗原や低分子医薬の標的となるリン酸化酵素(キナーゼ)(※3)など25種を同定することに成功しました。これにより、急性骨髄性白血病を幹細胞レベルから根絶する新しい薬剤開発が可能となります。さらに、骨髄内を直接観察することで、発見した標的分子が、確かに白血病幹細胞の潜んでいるニッチに存在することを突き止め、幹細胞を標的とした創薬の実現性が高いことが明らかとなりました。免疫・血液細胞すべてを作り出す正常な血液幹細胞には発現しない標的を選ぶことで、私たちの体を守る免疫細胞・血液細胞に深刻な副作用を起こさない創薬が可能になると考えて� �ます。
今回の成果は、正常な幹細胞を守る安全性と、白血病の根源である白血病幹細胞を根絶し、再発をなくす根治性を両立する、世界中で求められてきた新たな治療戦略=がん幹細胞を標的とした医薬創出が可能になります。がん幹細胞研究から、がん幹細胞の分子標的医薬の実現へ、新しい時代を切り開きます。
本研究成果は、米国の科学雑誌『Science Translational Medicine』(2月3日号)にオンライン掲載されます。
■背景
急性骨髄性白血病は、成人に多い予後不良な悪性の血液疾患で、血液がんの1種として知られています。これまでに、さまざまな抗がん剤の開発が進み、寛解(白血病細胞の数が減少し症状が改善)という治療効果をもたらすまでになりました。しかし、一旦寛解状態を得た患者の多くが再発し、結局、死の転帰をたどることが白血病治療の最大の問題となっています(図1)。研究グループは、これまでに、白血病幹細胞が骨髄の中の特別な場所(ニッチ)に存在して抗がん剤に抵抗性を示すことこそが、白血病再発の原因であることを明らかにしてきました(2007年10月22日プレス発表)。その後、研究グループは、白血病幹細胞を有効に死滅させ、白血病の再発をなくして根治へと導く治療法の確立に向けて、研究を進� �てきました。
■研究手法と成果
白血病を幹細胞レベルから根絶する治療法を確立するには、私たちの体を守る免疫や血液細胞に重大な副作用を起こさない創薬を実現する必要があります。そこで、まず白血病幹細胞の特徴を知るために、実際に白血病の患者から得た白血病幹細胞の遺伝子と、正常なすべての免疫・血液細胞を作り出す正常造血幹細胞の遺伝子とを網羅的に比較しました。具体的には、マイクロアレイを用いて白血病幹細胞だけで活性化している遺伝子を探索し、候補となった遺伝子について、qRT-PCR(※4)、フローサイトメトリー(※5)、共焦点イメージング(※6)など、さまざまな手段を駆使して、白血病幹細胞だけに発現している分子を25種類発見することに成功しました。これらの分子には、白血病幹細胞の細胞表面で特異� �に発現している分子や、多数の白血病細胞を作り出す際の細胞の増殖・生存に必須と考えられるリン酸化酵素(キナーゼ)などの酵素、核の中で幹細胞の腫瘍性にかかわると考えられる転写調節因子(※7)を含んでいました。これは、白血病幹細胞に発現し、正常な血液・免疫を維持する血液幹細胞には発現しない標的分子を発見したことになります。
さらに、患者の白血病状態をヒト化マウス(※8)に再現した白血病ヒト化マウスを用いて、患者では直接行うことのできない骨髄内の病態イメージングを行いました。研究グループはこれまでに、白血病幹細胞がニッチに存在して抗がん剤抵抗性を示し、再発の温床となっていることを明らかにしてきましたが、今回これらの分子が確かにニッチに存在していることを直接確認しました。これは、幹細胞を標的とした創薬の実現性が高いことを示しています。
これらのことから、白血病を幹細胞から殺す根治性と正常の免疫を守る安全性を両立する、抗体医薬・キナーゼ阻害剤などの医薬開発を通して、急性骨髄性白血病の根絶を実現する医療に近づいたと考えられます。
■今後の期待
今回発見した「正常幹細胞には発現しておらず、白血病幹細胞に発現している分子」は、その分子に対する抗体医薬・低分子医薬の開発へ、比較的早期に応用・還元できると期待されます。これまでの抗がん剤治療によって幹細胞以外の白血病細胞を殺し、今回の研究成果に基づいた「白血病幹細胞を標的とした医薬」によって幹細胞を殺すことで、急性骨髄性白血病の再発を克服し、完治・根治の実現が期待されます(図2)。ヒト化マウスを用いて世界をリードした白血病幹細胞研究が、世界初のがん幹細胞をターゲットとした白血病幹細胞の分子標的医薬の開発を導き、白血病再発克服につながると考えられます。
◆補足説明
2) ケアプロ、糖尿病検査の新サービス「HbA1c検査」を開始
ワンコイン健診のケアプロ 糖尿病検査の新サービス開始
~10分1,000円で HbA1c測定~
ケアプロ株式会社(本社:東京都中野区)では、2月より新サービス「HbA1c検査(10分・1,000円)」を開始しましたのでお知らせいたします。
HbA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー)とは、「過去1~2ヶ月の血糖の平均的な状態を反映するため、糖尿病のコントロールの状態がわかるもの」*であり、血糖値とは異なり直前の食事によって検査値が影響されることはありません。そのため以前よりケアプロ中野店の利用者からHbA1c検査の導入についての要望が数多く寄せられていました。HbA1c検査は糖尿病の確定診断にも用いられており、現在5人に1人は糖尿病あるいはその予備群といわれている昨今の日本において、HbA1cの検査値を手軽にチェックできることで、糖尿病の早期発見に一役を担うのではないかと考えています。
検査は、医療機関で使用されている機種を用いて、従来の血液検査と同様に指先からの自己採血で微量の血液を採取し、結果は7分程度でわかります。お急ぎの場合は、後から携帯やPCで検査結果を閲覧することもできます。
今回ケアプロでは500円玉2枚のツーコイン・1000円での検査を実現しました。
医療機関でHbA1c検査を受けた場合、費用は4640円(初診料270点、HbA1c血液検査料50点、血液検査判断料144点)の1~3割が自己負担となりますが、健康保険が適用されて3割負担の場合でも1392円ですので、より安価で検査を受けることができます。また、HbA1c検査に加え、総コレステロール、中性脂肪、身長・体重・BMI・血圧・骨密度の検査を受ける場合には、セット価格2000円で提供いたします。
HbA1c血液検査の試験運用期間中には下記のような意見が聞かれました。
・「今まで血糖値が高いと言われてきたけど、HbA1cも高かったので、これで病院に行く決心がつきました」(60代・男性)
・「つい間食してきたので、直前の食事に影響されない値がわかるのは嬉しい」(50代・女性)
・「年末年始不摂生していたので、その影響がわかってよかった」(40代・男性)
ケアプロ中野店の営業時間中にHbA1c検査ができますが、中野店以外でのイベントに使用する場合があり、その場合は中野店で検査ができないため、弊社ホームページ(
*人間ドック学会HPより引用
ケアプロでは、利用者が検査結果を踏まえ、運動や食事、必要時には医療機関への受診といった行動を促せるようなサービスの提供体制を様々な企業・団体と構築し、予防医療の推進に努めていきたいと考えております。(下記、「ケアプロ健康サイクル」参照)
【ケアプロ中野店の概要】
■ケアプロの検査メニュー
(1)血糖値:500円
(2)総コレステロール:500円
(3)中性脂肪:500円
(4)血圧、体重、身長、BMI(肥満度)、骨密度:500円
(5)ヘモグロビンA1c:1000円
・上記(1)~(4)セット:1500円
・上記(2)~(5)セット:2000円
※看護師・保健師が丁寧に対応します。
健康保険証は不要です。
■店舗情報
・営業時間:12時~19時(水曜定休、年末年始休)
・所在地:〒164-0001 東京都中野区中野5-52-15
中野ブロードウェイ1階
・TEL:03-5942-8982
・E-mail:infbr /> ・URL:
3) テルモ、頭部血管用ガイディングカテーテルシステム「シャペロン」を発売
テルモ、頭部血管用ガイディングカテーテルシステム「シャペロン」新発売
テルモ株式会社(本社:東京都渋谷区 社長:高橋 晃)は、脳血管などのカテーテル治療に用いるガイディングカテーテルシステム「シャペロン」を、2月5日より全国の医療機関に発売いたします。希望小売価格(保険償還価格)は31,600円(ガイディングカテーテル[脳血管用]:27,500 円、血管造影用カテーテル[一般用]:4,100円)です。
脳血管などのカテーテル治療では、コイルなどの治療用のカテーテルを目的部位までデリバリーするためにガイディングカテーテルを使用します。「シャペロン」は、ガイディングカテーテル挿入の際に血管分岐部での血管損傷のリスクを低減するため、柔軟な先端部を持つインナー(造影)カテーテルをガイディングカテーテルと組み合わせたガイディングカテーテルシステムです。
また、ガイディングカテーテルを肉薄にして内径の大きさを確保することで、従来入れ替えて使用していたマイクロカテーテルやバルーンカテーテルなどを2本同時に挿入して操作することも可能です(*)。
(*)内径0.071 インチ(1.8mm)品種
4) ニプロ、血糖測定関連製品製造・販売の米HDIを買収
当社によるHome Diagnostics, Inc.買収について
当社は、米国NASDAQ市場に上場している米国の血糖測定関連製品を製造販売 するHome Diagnostics,Inc.(本社:米国フロリダ州、以下「HDI」)と、当社の完全子会社が現金による株式公開買付け(以下「本公開買付け」)及びそれに続く現金を対価とする合併によりHDIを買収(以下「本買収」)することについて合意しましたので、以下の通りお知らせいたします。
当社は、上記合意内容に基づき、米国で新たに設立された買収子会社Nippon Product Acquisition Corporation(以下「NPAC」)を通じた本公開買付けにより、HDIの発行済普通株式の総数を総額約215百万米ドル(1株あたり11.5米ドル)で取得します。
本買収後、HDIは当社の連結子会社として、米国フロリダ州において事業を継続することを予定しております。本買収は友好的なものであり、当社及びHDI の両取締役会は本買収を既に承認しておりますが、本買収の実行には米国独占禁止法に基づく条件の充足その他
一般的な前提条件の充足が必要となります。
1.HDI 買収の目的
当社グループは、2020年度の経営目標として売上高5千億円、さらには2030年度には売上高1兆円を目指すという長期目標を掲げ、販売拡大に邁進しております。中核事業である医療機器部門における今後の拡大の中心は海外市場にあり、注力分野の一つである糖尿病関連の領域においても、インスリン注射用器具、ランセット(皮膚穿刺器具)等の製品に加え、血糖測定関連製品をグローバルに営業展開するための体制整備、強化を検討しております。
HDIは、米国の血糖値測定関連製品の開発、製造販売会社であり、TRUE2go(TM)、TRUEresultR等の血糖測定器を米国全土でCVS、Rite Aid、Walgreens 等を含む45000 以上の薬局で販売するとともに、AmerisourceBergen、Cardinal Health、McKesson、Invacare、Liberty Medical 等の代理店による販売も行っています。HDI は2008年に米フォーブス誌の「200 Best Small Companies」に選ばれ、また2009 年には同社製品であるTRUE2go(TM)がMedical Design Excellence Award (MDEA)を受賞、また米Appli� �nce Design Magazine誌の第22 回「Annual Excellence in Design (EID) Awards Competition」において医療・診断機器部門における金賞を受賞するなど、会社ならびにその製品は高い評価を得ています。
当社グループにとりましては、今回のHDI の買収は、当社が糖尿病関連製品を米国展開する上での強固なインフラとなり、また一方でHDI の製品を当社グループの営業網を通して販売することにより世界市場におけるプレゼンスを高めることができるものと考えております。これにより上記に掲げた当社グループの長期的な将来成長を支えるとともに、グローバル企業として世界中の医療関係者及び患者様に更に貢献してまいる所存です。
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